社会で役立つ知的財産法

まず基本理解

知的財産権とは、発明や創作など無体財産に関する、独占権である。特許法や著作権法で定めてられている。
特許法はかつて専売特許条例と呼ばれており、特許権は発明者が「専売」できる権利だとイメージすると理解しやすい。

権利取得

権利取得の流れは、「出願」→「審査請求」→「拒絶理由通知」→「中間手続き」→「特許査定」→「特許料納付」→「特許権取得」
出願から権利取得までは最短でも3年、料金は100万円ほど必要になる。
出願に関して「先願主義」が採用されており、とりあえず出願だけしておいて、3年間の審査請求期限に権利化の意義があるのかを検討する。というのがよくあるパターン。

職務発明

職務発明とは、「従業員等がした発明であって、その性質上当該使用者等の業務範囲に属し、その発明をするに至った行為がその使用者等における従業者等の現在または過去の職務に属する発明」を言う(35条)。
簡単に言うと、発明をした従業員が報われるようにしようぜって規定。
会社と従業員の間では「予約承継」の契約を結んでいることが多い。「予約承継」とは、会社に特許権を譲渡する代わりに、相当の対価を受け取るという契約。その際の契約内容が「不合理」でない限りはその契約が尊重される。
相当の対価が少ないと揉める場合も多い。相当の対価は、発明の利益の大きさ、従業者の貢献度、使用者の寄与度、利用設備などが考慮されるが、「青色発光ダイオード事件」では、200億円の地裁判決を経て、8億4391万円で2005年に和解が成立した。

特許権の保護範囲

原則ルールは、「特許請求の範囲(クレーム)に一致」するところが特許の権利範囲。
補足ルールで、「特許請求の範囲」解釈のための準則がある。クレームの意義が不明な場合は明細書・図面を参酌して良いとされている(70条2項)。答弁書や補正理由書の記載、審査官とのやり取りも参考にされる(包袋禁反言)。
さらに、例外ルールで、「特許請求の範囲」外への拡張が認められる場合がある。「equivalent theory」の訳語「均等論」と呼ばれるルールで、大体一緒だから保護範囲に含めようってルール。
均等(equivalent)の要件は、
・置換可能性があること
・容易に想達できること
・相違点が発明の本質的部分でないこと
個別に判断するしかないので、判例[ボールスプライン事件]とか参考に。基本は原則が重視される。

特許権が侵害されたら

民事的救済手段には、
・差止請求権(特許100条)
・損害賠償請求権(民法709条)
・不当利得返還請求権(民法703条)
・信用回復措置(特許106条)
がある。

国際消尽

いわゆる並行輸入品と呼ばれるもの。
メーカーとしては商品価格は自分でコントロールしたいので並行輸入は阻止したい。
しかし、並行輸入品は正当な権利者が一旦適法に流通に載せたものであり、特許権はその時点で消尽したもので、特許権者に二重の利得を認める必要がないという理由が学説判例で支持されている。
つまり、基本的には並行輸入を特許権で阻害することはできない。(契約で縛ることは可能)

先行技術調査

研究の方向性を決めるため、出願前、審査請求前、無効審判のため、など、様々なシーンで調査が必要となる。
先行技術は、論文や、一般書、など幅広く調べる必要がある。

特許電子図書館(IPDL)

中でも特許情報は、特許電子図書館(IPDL)で無料で検索できる。
検索方法は、キーワードを使った公報テキスト検索、FタームやFIを組み合わせる特許分類検索、など。

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知財部

会社によっては専門の知財部がある。多くは「法務部」の業務として、あるいは、その下位組織として機能することが多い。
基本的には、出願手続きや、紛争処理。訴訟の法務関連の業務を担当する。
特許権の運用方針ならば、「企業経営」、技術に焦点を当てるなら「研究開発部門」、発明の対価報酬や人事考課なら「人事」、ライセンス促進なら「渉外」、など、各部門とのつながりは強い。

実際の知財部がどういう仕事をしているのかは、『戦略的な知的財産管理に向けて 経済産業省 特許庁』が参考になる。

出願関係はすべて弁理士事務所に任せているところもあれば、社内に弁理士を雇う場合もある。
この業務を発明者、知財部、特許事務所でどのように役割分担するのかが、大きな分かれ目であるようだ。
発明者の負担が多いと、主業務に支障をきたすおそれがある。あるいは特許事務所に多くを頼ると、手数料が高く付く。

知財実務の主な狙い

1.研究・開発の支援
ex)公知技術の調査・分析、で研究の方向性決定の素材を提供する。
2.発明の発掘
ex)発明届け制度、表彰制度、発明規定の明確化など、発明が表に出やすい環境を作る。
3.権利の管理
ex)中間手続きなど、権利に係る特許庁との手続き
4.開発の保護
ex)他企業の特許を侵害しないように、安全性の確保
5.販売の支援、他社への牽制、契約の支援
ex)模倣品、類似品を監視・警告し、排除あるいはライセンス契約を結ぶ
6.ノウハウ技術の保護
 ex)特許技術との区別、秘密管理の徹底。

<特許調査の種類と目的>

1.技術情報の調査
 先行技術調査
  ―出願前調査  (発明の新規性・特許性の確認のため)
  ―審査請求前調査(審査請求の判断や補正案作成のため)
2.権利情報の調査
 侵害予防調査 (新製品が他社特許を侵害しないか?)
 抵触調査   (自社特許が利用する他社特許・製品はないか?)
 権利調査   (新製品に関する他者の権利は?)
 無効資料調査 (特定の特許を無効に出来る資料を探す)
 監視調査   (特定の案件・範囲・出願人などの監視)
 パテントファミリー調査
3.経営関連情報の調査
 経営・商品・開発状況調査(自社、他社を特許の視点から分析しパテントマップを作成)

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