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のぞえもんとオリンピックロゴ【著作権】

タイトル:クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本

著者:鷹野 凌

出版社:インプレス

発行日:2015-04-24

最近の著作権ニュースの話。
日本を代表する漫画といえば『ドラえもん』。そのパロディエロマンガ『のぞえもん』の連載中止が発表された。

人気漫画『ドラえもん』とよく似た設定が話題になっていた、藤崎ひかりの漫画『のぞえもん』が連載中止となった。8月8日に発売された日本文芸社の漫画雑誌「コミックヘヴン」第19号では最新話が掲載されず、巻末に以下のような謝罪文が掲載された。

「今号に掲載予定だった『のぞえもん』につきまして、当社としまして内容に不備があると判断し、連載を中止させて頂きます。読者の皆さまには大変ご迷惑をお掛けしましたこと、深くお詫び申し上げます。誠に申し訳ございません」

『のぞえもん』は6月9日、単行本第1巻が発売されたが「内容の一部に不備があった」として、わずか数週間で書店から回収された。同作品は高校生の「たかし」を助けるために、未来から幼女型ロボット「のぞえもん」がやって来るという内容だった。

出版した日本文芸社は『ドラえもん』の著作権ビジネスを手がけるアサツー・ディ・ケイの完全子会社。そのため、『ドラえもん』のパロディとも取れる内容が問題になったのではと指摘する声も出ている。(http://www.huffingtonpost.jp/2015/08/10/nozoemon-apology_n_7969072.html)

面白い悪ふざけだと思っていたけど、残念ながら連載中止に。
著作権的には実は全く問題ないのだけれども、騒ぎになってそれでもなお連載継続する力がなかったのかなと推測。
※著作権は具体的に表現された「絵」や「文章」に生じる権利であって、キャラクター設定には何の権利も発生しない。したがって「未来からやってきて、秘密道具で主人公を助ける鈴を付けた青と白のネコ型ロボット」とか「顔がアンパンでできていてバイキンから市民を救うヒーロー」とかの設定を真似したとしても絵が似ていなければ著作権の侵害には当たらない。
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出版社としては妥当な選択っぽいが、作者は納得いかんだろうな。あるいは怒られる前提で書いてたなら案外仕方ないと思っているかも。ドラえもんパロディで[幼女+失禁+乳首]はさすがに攻め過ぎたか。

タイトル:一流の人は上手にパクる――仕事のアイデアがわいてくる大人のカンニング

著者:俣野 成敏

出版社:祥伝社

発行日:2015-02-01

ついでにオリンピックロゴについて思うこと。
デザイナーの佐野氏はネットではだいぶ叩かれてて、”パクリエイター”なんて呼ばれている。特にトートバックの素材盗用の件が火に油を注いだらしい。炎上中。しかし「デザインの盗作」と「デザイン素材の盗用」は分けて考えた方がいいと思う。「丸パクリする人」と「素材を組み合わせるのがうまい人」は性質が異なる。前者はクリエイターではないが、後者はクリエイターである。まぁその素材を盗用するのは論外だが。
で、結論をどこに持っていきたいかというと、佐野氏が、著作権意識の低い「盗用の常習犯」であるからといって、即ち「盗作する人間である」というのは少し乱暴な論理ではないかと思う。で結局のところ個人的にはオリンピックロゴについては盗作ではないし、変更する必要もないと思う。

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今後が楽しみ。真実は本人しかわからない中、偉い人がどう対処するのか。のぞえもんの轍を踏むのか、そのまま進むのか。

追記15/9/6

エンブレムは結局使用中止。
理由は「盗作とは考えていないが、今や一般国民の理解を得られなくなった」からとの委員会説明。盗作云々は知らないが、少なくとも法律違反(著作権の侵害)ではない。その辺の理屈は↓
【福井健策先生】疑惑の五輪エンブレムは「著作権侵害」ではない?(http://mainichi.jp/premier/business/entry/?id=20150904biz00m010047000c)

法律的にはOKなのに、なぜ使用中止になったのか?今回の問題点は、「エンブレムが盗作(違法)であったか」ではなく「倫理的であるか」ということだと思う。

法律と倫理(=感情、信義、正義)は必ずしも同じではない。
例えば「凶悪殺人者犯を死刑にしてしまえ」という倫理は当然存在する。しかし法律は1人殺したくらいでは「死刑にはしない」。この法律と倫理のギャップとどのように折り合いをつけているのか、個人差があるように思う。

これについて、[法律>倫理]思考の人と[法律<倫理]思考の2種類の人が存在すると思う。
[法律>倫理]は法律が絶対。法さえ守れば何をしても良い。逆に悪法も法だ、という派。
[法律<倫理]は倫理が絶対。法律は最低限を規制しているだけ。法律の不備は自らで救済したい派。
どちらも偏りすぎると危険思考だけど、自分はどちらかというと[法律>倫理]派。
少し前の話題、ドローンとか脱法ハーブとかの件も、法律がちゃんと整備されていないのが悪い。と思っている。で、その思想から言うと今回は倫理が優先されてて悲しいねって感想。一般国民的には佐野ざまぁであるが。

特にグレーソーンの大きい著作権法。法的にアウトな2次創作や、コンテンツの引用、倫理的にアウトなデザインの模倣等、火種は多い。法と倫理で揉めることは今後も多いだろう。

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