テイク・シェルター【映画】

田舎の工事現場で働くカーティスは、優しい妻と耳の不自由な娘と幸せな毎日を過ごしていた。しかしある日突然、恐ろしい大災害の悪夢にうなされるようになる。それを、実際に天変地異が起こる予兆と信じた彼は、避難用のシェルター作りに没頭していく。

☆☆☆☆☆
アマプラ映画。「悪夢に悩まされる男の話」。
レビューとか見てから視聴した方が楽しめると思う。前知識ないとファンタジーものと勘違いして見てしまいそう。
レビュー見ていると「神のお告げ」だとか「予知夢」だとか書いてあるものがあったけど、そういう幻想的なものではなくて、リアルな「統合失調症」とか「強迫性障害」とかがテーマ。

映画は、男が悪夢で目を覚ますところから始まる。
男の悪夢は様々パターンあって、飼い犬が襲ってくる夢を見たら犬を遠ざけ、嵐が来る夢を見たらシェルターを作る。みたいにどんどんエスカレートしていく。
端的に書くとただの頭の悪い「杞憂男」だけど、初めは普通の男だったのに、徐々に精神が蝕まれて行って、生活が破綻していくのが怖い。
不安や恐怖の対象が、犬から始まり、友人、挙句の果てには、妻も不安の対象になるのが恐ろしかった。

作中だけのフィクションではなく、自分もなりかねないと思うのが何より怖い。
統合失調症とかネット上では、ありもしない妄想の囚われている変な人だとバカにされがちだけど、自分もそんなことにはなるはずがない、と思っている。だからこその怖さがある。

作中の主人公も、自分の行動の異常性を自覚してて、統合失調症という病名も疑っていて、それでもなお、病気に呑まれていく様が怖い。妻も優しくて、友人も兄も助けてくれる。それなのに。っていう無力感が良い。

好きなシーンは、
・カウンセラーに自覚症状を話す場面。
・夢でなく覚醒時に嵐を見て、自分以外に見えていない妄想だと自覚する場面。
・妻が手を握り『耐えられる?』と尋ねる場面。
・シェルターを開けようと不安と戦う男の場面。
が好き。

シェルターの扉と戦うところは、常人の目から見ると「コイツは一体なにと戦っているんだ……」なのだけど、本人は人類滅亡レベルに追い詰められてるんだろうなぁ、と状況が面白い。

あとガスマスクのくだりも面白かった。
あそこは悪夢関係なく、TVニュースが原因で不安発症する。買いに行った先での『一番良いガスマスクください』ってセリフが好き。一体なんのためにマスクを買うのか……主人公から思考とか理屈が失われてる。

ラストも良い。解釈は分かれるかもしれないけど、ミイラ取りがミイラになったって展開なんだと思う。

EDも好き。『どうすればいい~今はただ走るだけ~♪』アルコール依存症とかもそうだけど、先に破綻が見えるけど、もうどうしようもなく今で精一杯なのだろうなぁ。わからんけど。わからんのだよなぁ。

あと作中で何度かあったけど、理由を聞かれたときに、ごまかすというか答えないのはどんな心理なのだろうか。説明しても理解を得られないことを自覚してるからなのかなぁ。
しかしも、理性が有るのか無いのかよくわからないよなぁ。幻覚妄想と分かっていて、理性が負けるのは、意志が弱いという解釈でよいのか?妻は耐えれた事象の解釈に依るのかな。「妻なら耐えれたから頑張れば他もいける」か「妻ぐらいじゃないと耐えられないほどつらい」か。

映画はバッドエンドに終わるわけだけど、現実を考えたとき、妻が夫を救えるルートはあったのだろうか。序盤からもう集中治療するのが最善だったのだろうか……。

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